能動的三分間をみたいなアプローチって
今回紹介するのは皆様ご存じ、東京事変の『能動的三分間』と言う楽曲です。
この楽曲の凄さ、それはなんと言っても演奏時間へのこだわりでしょう。
タイトル通り、この曲の演奏時間は三分ジャストです。
このアプローチって凄い斬新でめっちゃスタイリッシュだと思います。
過去にマドンナが4 Minutesという曲を出しましたがおそらく4分くらいで
4分ジャストではないし、この様なアプローチの曲ってあんまり無いと思います。
しっかり三分間で終わらせるって事が斬新で美しいんですよね。
この美学で似てるアプローチが
アニメ、新世紀エヴァンゲリオンの第9話
「瞬間、心、重ねて」のワンシーンにあります。
子供のころ、思ってたのが「ウルトラマンって3分しか地球に居られないけど、3分以上いるやん!」ってその事が凄く矛盾していて。
そういう場面ってアニメとか映画とか創作物多いと思うんです。
「後、10秒で爆破します!」
って言いながらそのシーンが3分くらい続いたり。
個人的にはこんなのが凄く気になるんです。
その「う~ん」って感情をすっきりさせてくれたのがこのエヴァのワンシーンで。
しっかりリアルタイムで物語が進んでいく描写なんですよね。
ちょっと話が反れましたが、個人的には同じアプローチだと思います。
◆遊び心こそ大事◆
まず初めに言いたいのが、東京事変って超絶的に【遊び心】を上手に使うバンドだという事。そもそも林檎さん自体上手だと思います。
皆様は3分と言う単語から何を連想しますか?
この曲の歌詞の冒頭はこの様なフレーズです。
You're all alone You're fixing ramen You pour hot water in
キミは一人でカップ麺作ってる、お湯入れるだけだね~的な歌詞です。
タイトルの『能動』と『ヌードル』を掛けてるとも言われてます。
最初聞いた時、「これって即席麺の歌?」って思いました。
即席麺のように音楽は簡単に使い捨てられるって事も表現しているのかも知れません。
◆楽曲を時間ぴったしに決めて作るのって凄い?◆
「曲を三分間しっかりまとめるの大変そう」
と思われがちですが、計算すれば構造上は楽です。
この曲はBPMが120。つまり1分間に4分音符が120入ることになります。3分間で360。
この曲は4/4拍子なので1小節に4回4分音符が入れれます。360÷4で90。
つまり、BPM120の曲を3分間きっちりで作るには90小節で完成させなければなりません。時間にすると1小節2秒ですね。
言葉にすると簡単ですが、計算してここまでの作品に仕上げるのは本当に事変しか出来ない芸術的行為だと思います。
◆この曲のキモはラスト30秒にある◆
この曲を簡単に分割してみました。
①イントロ2小節(内1小節は4/2)
②Aメロ8小節
③Bメロ8小節
④Aメロ8小節
⑤ちょびサビ8小節
⑥メインサビ(掛け合いのところ)8小節
⑦Bメロ浮雲Ver.(間奏的なニュアンス)8小節
⑧Aメロ8小節
⑨ちょいサビ8小節
⑩メインサビ(掛け合いのところ)8小節
⑪Cメロ~fin 16小節 ラスト30秒!
計90小節
※厳密に言えば、聴いてる感じサビは1小節前からからスタートみたいな感じの作りですが、分かりやすく頭で全部区切りました。
基本8小節括りで進んで行くんですが、Cメロだけ(つまりラスト30秒)は8小節の同じフレーズを2回しして16小節で完結する作りで出来ています。
ラスト30秒の歌詞です。
I'm your record,I keep spinning round (我々は使命を果たしたと思う)
But now my groove is running down (しかし始まったものは終わる)
Don't look back brother get it on (決して振り返ってはいけない 任務を全うせよ)
That first bite is but a moment away (幸せな一口目が待ち構えてる)
When I'm gone,take your generator (我々が死んだら電源を入れて)
Shock! Raise the dead on your turntable. (君の再生装置で蘇らせてくれ)
Up,up and away!(さらばだ!)
ファンの間ではこの歌詞は解散メッセージでは?と噂された。
実際にこの曲を発表した数年後、解散することになるのだが、林檎さんは
この歌詞を声明として使っていた気がする。
このCメロに入った瞬間の高揚感と盛り上がりが鳥肌モノ。
三分間という時間にフォーカスしがちな楽曲ですが、リズム(グルーブ)へのアプローチもとてもおもしろい楽曲です。
ニュージャックスウィングという打ち込みのグルーブ感を生バンドでやったらどうなるんだろう的なノリで作られています。ここも深堀りすると長くなるので今回はこれで。
お読み頂きありがとうございます。あくまで個人の感想に過ぎません。
締めの一曲 栗山千明/ 決定的三分間